舞台評No.5 なにわバタフライ
なにわバタフライ
作・演出 三谷幸喜
出演 戸田恵子
パルコ劇場
三谷幸喜氏の新作で、戸田恵子嬢初の一人芝居であり、三谷幸喜氏にとっても初の一人芝居。
浪花の喜劇女優「故・ミヤコ蝶々」をモチーフにした、恋と芸に生きた涙あり笑いありの女の一生モノである。
芝居の中に「ミヤコ蝶々」の名前はもちろん、彼女に関わった男性の個人名は出てこない、まぁ個人名を出されても、会場に訪れていた観客層は知らないであろうが…。
主人公が記者の一代記の取材を受けるため、記者が来るまでの間に一人でリハーサルを始める設定なのだが、この設定が中途半端に感じられたのは、私だけだろうか。
チケット発売直後に全公演SOLDOUTになるほどの期待が一杯に詰まった作品である、確かに戸田恵子は今まで(演歌歌手でデビューした14、5歳のあゆ朱美の頃や薔薇座の頃の彼女を知っている私にとっては大感激大感動もの…)の集大成的な演技で、休憩なしの2時間の一人芝居を演じきっていたが、あまりにもサラっとし過ぎてしまった気がしてならない。
考えてみた…三谷氏は東京、戸田嬢は名古屋出身で共に日常生活で浪花言葉を話してはいないであろう、関西人ではない私からすると、大阪はいや浪花はもっとベタで濃いのである。
しかし、この役を当代きっての浪花の喜劇女優「藤山直美」に演じさせたらどうなのだろう、それはそれでリアリティがあり過ぎる舞台になってしまうのだろうか!?
見比べてみたいも気がするが、「喜劇の本質は緊張と緩和…」この芝居に出てきたセリフなのだが、先ずはこのセリフを生かしての戸田嬢による再演を望んでやまない。
カーテンコールの戸田嬢はホント輝いていた。
生演奏のマリンバとパーカッションの音楽は新鮮な感じで、この舞台に合っていたし何倍にもセンス良くさせてくれました。
心地よい後味の舞台を「有難う!」
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