舞台評No.31 父帰る/屋上の狂人 (シス・カンパニー公演)
父帰る/屋上の狂人 (シス・カンパニー公演)
作 菊池寛
演出 河原雅彦
出演 「父帰る」 草なぎ 剛
勝地 涼 西尾まり
梅沢昌代 沢 竜二
「屋上の狂人」 草なぎ 剛
勝地 涼 高橋克実
キムラ緑子 宮川一人
梅沢昌代 沢 竜二
2006/4/21 シアタートラム
作家・菊池寛の短編が原作、どんな時代にも変わることのない日本人の心を題材にした、ストレートプレイ2作品。
10分の休憩をはさんで、全体で1時間強の舞台なので、1本は30分弱で、あっと言う間。
20時開演で、21時05分には終演。
舞台と言えば、2時間~3時間…長い舞台に慣れているので、妙に新鮮な感覚が…。
初めて行くシアタートラムのキャパは200人程度。客席間の高さも考えられていて、前の人の頭をあまり気にせずに観れるし、舞台のタッパも高くて、個人的に大変気に入りました。
「父帰る」
時代は明治初期の頃なのだろうか、放蕩の果てに家族を捨てた父親が、ある日突然帰ってきた。
父迎え入れる、母と3人の兄弟妹の感情や愛情は 、どう揺れ動くのだろう…。
長男役はSMAPの草なぎ剛、力み過ぎの感じもあったが、良く通る声でセリフも聴き取り易かった、しかし少し一本調子だった気も…。
次男役の勝地涼は、青年らしい清々しさが良く出ていた。年相応な役なので無難にこなしていたが、これから色々な役と舞台を積み重ね、舞台役者として大きくなって欲しい。応援(笑)!
ただ、演出も脚本もあまりにストレートで古典的なので、観客の多くを占めていた若い女性達には、どのように感じられたのだろう。
「屋上の狂人」
こちらも同じ時代か、日がな一日屋根に上り、空や神様と話す、ただただ純粋な兄と、そんな兄を愛する心優しい弟。
人間にとっての幸せや真実とは…。
同じく狂人と思われる兄役には草なぎつよし、そして心優しい弟役には勝地涼。
何とも言えないフンワカした狂人の感じが、ペーソスを感じさせてくれた。
両親役(沢竜二、梅沢昌代)も同じなのだが、他の出演者も含め、やはり全員が弾けた分だけ可笑しく楽しかった。
ラストシーンでの弟のセリフが、この作品が持つ、人の生き方とそれぞれが持つ価値観の普遍性を教えてくれた。
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