舞台評No.42 トーチソングチリロジー
トーチソングトリロジー
作 ハーヴェイ・ファイアステイン
上演台本・演出 鈴木勝秀
出演 篠井英介
橋本さとし
長谷川博己
奥貫 薫
黒田勇樹
木内みどり
2006/11/26 PARCO劇場
20年前に同じ劇場で観た舞台、その後に観たアメリカ映画。どちらも大好きで心に残る作品「トーチソングトリロジー」。
確かに脚本は素晴らしい…でも何かが!?
20年前に観た、アーノルド役の鹿賀丈史や母親役の山岡久乃他のキャストや、その後舞台化された時に観たアーノルド役の加藤健一の印象や衝撃が、私自身の中で強すぎるのかも知れないし歪めないのも事実なのですが…。
時代はあの頃に比べ、ゲイやバイセクシャルの対する知識や情報も溢れ、偏見も少なくなっているかも知れないでしょう。
だから、この作品に対する観かたや思いも変化して当然であろうし、かつての物珍さや好奇心よりも、純粋な愛の形として捉える事も出来るであろう。
しかし、その熱さが伝わってこなかったのは残念であるし、何故だったのだろう。
この作品は普遍性を持たないのであろうか、そんな事はないと思う。
1981年に生まれた「トーチソングトリロジー」。
今や、世界中の映画や舞台でも当り前のように取り上げられる、ゲイやバイセクシャルを題材にした作品。
様々な愛情表現を認め表現する事は、素晴らしい事だと思うが、そのお陰でこの作品のとらわれ方や演出も、今のままで果たして良いのであろうか…つくづく考えさせられました。
それでも、とにもかくにも、また観てみたい作品です。
余談になります。当日、私の後ろにはニュー・ハーフの3人連れが観に来ていました、2幕目まではしゃがれた小声で無駄話をする事はあっても何とか観ていたのですが、3幕目に入る前の休憩時間に席を立ったまま、3人とも客席には戻って来ませんでした。
今回の舞台の何かを物語っているのかなぁ、彼女(彼!?)達の感想や意見が聴いてみたかったです(笑)。
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