舞台評No.50 ミザリー
『ミザリー』
原作 スティーヴン・キング
演出 松本祐子
出演 渡辺えり(アニー)
小日向文世(ポール)
2007/10/5 シアターアプル
アメリカ映画「ミザリー」ではキャシー・ベイツ(1990年度アカデミー賞主演女優賞)とジェームズ・カーンが演じた役を、渡辺えり(えり子改め)と小日向文世が演ずる。
大衆向けのシリーズ小説「ミザリー」で人気作家になったポール・シェルダンは、主人公ミザリーに美しい死を与えてシリーズを終了させ、かねてから書きたかった現代小説を山荘で書き終えた。
しかし、出版社に届けるために車を運転していたポールは、嵐の中で崖から転落してしまう…。
ポールが目を覚ますと見知らぬ部屋の中、奇跡的に命を取りとめたのであった、そして動けない身体、痛む足。
救ったのは元看護婦のアニー、そしてポールが寝ているのはアニーの家のベッド。
昏睡している間にポールの身分を知り、ポールの大ファンのアニーは狂喜。
「ミザリー」シリーズの熱狂的なファンのアニーは、主人公のミザリーは死んでいなかったと言う続編をポールに書かせるために、サディズム的な異常行動にでる…。
いつ爆発するかわからないアニー。アニーはかつて何人もの人間を殺した精神異常者だったのだ。
それを知り、何とか脱出を謀ろうとするポール、執拗に責めまくるアニー、その結末は…。
チラシのコピーには“この恐怖から逃れられない”
確かに映画「ミザリー」におけるキャシー・ベイツの怪演は、今でも頭から離れないほど、怖かった。
しかし、渡辺えり演ずる舞台版「ミザリー」では…
良くも悪くも渡辺えりは、渡辺えりの世界を持っている怪演的演技派女優。それがこの舞台に生かされていたのかいなかったのかは、正直私にはわからなかった。
小日向文世も映画のジェームズ・カーンよりもコミカルで軽い感じがしたし…。
確かに二人とも的確な演技をしていた。その結果、不条理なコメディー的な仕上がりになっていた気がする。
賛否両論はあるだろうが、私的にはもっとスリルとサスペンスと怖さを体感したかったなぁ。
もしかしたら、シアターアプルはハコとして大き過ぎたのではないだろうか。
臨場感溢れるもっと小さな劇場で観る事が出来たら…次回はキャパ150人前後の劇場で、この二人でまた観てみたい。
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