舞台評No.51 緒形拳ひとり舞台 白野 -シラノ-
緒形拳ひとり舞台 白野 -シラノ-
演出 鈴木勝秀
原作 エドモンド・ロスタン 『シラノ・ド・ベルジュラック』
翻訳 楠山正雄 辰野隆
翻案 額田六福 澤田正二郎
構成 島田正吾
出演 緒形拳
2007/10/17 早稲田大学大隈講堂
エドモンド・ロスタンの名作『シラノ・ド・ベルジュラック』を、幕末から明治中期までの日本を舞台に翻案した「白野弁十郎」は、新国劇の澤田正二郎が1926年に初演、その後島田正吾へと受け継がれ、その島田に師事した緒形拳が、師への尊敬を胸に挑んだ作品。
白野(シラノ・ド・ベルジュラック)のコンプレックスの象徴とも言える、巨大な“鼻”をあえて付けずに、その“鼻”の存在を、まるで見えるかのように観客に伝えてくれる、やはり、演技力の素晴らしさなのだろう。
舞台は、徳川幕府崩壊を目前にして騒然としている京の都。
憧れの女性の従妹の千種、恋敵にして友人の栗栖を始め5役を演じ分ける緒形拳。出来る限りの無駄を削ぎ落とした空間と美術、そして照明と音楽がとてもストイックに、白野(シラノ)の存在を浮かび上がらせていた。
淡々とした、そして飄々とした緒形拳の演技が、余計にせつなく胸に沁みる舞台であった。
私的には、緒形拳氏に対して、もっと熱~いイメージがあったので、とても新鮮に感じられたし、その演技がラスト・シーンの余韻を心の奥底に残してくれた。
しかし、もっと熱くドラマチックな演出で緒形拳に演じてもらい、この「白野 -シラノ-」をもう一度観てみたいと思うことは、無理なお願いなのだろうか…。


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