September 10, 2009

映画評No.80 サマーウォーズ

サマーウォーズ


監督         細田守

声の出演      神木隆之介  桜庭ななみ  
            富司純子  谷村美月  斉藤歩  
 

2009/日本映画


アニメ「時をかける少女」を手掛けた監督の作品。

主人公の天才数学少年・健二(声:神木隆之介)はアルバイトで高校の先輩・夏希(声:桜庭ななみ)の田舎、長野県上田市へ一緒に行くことになる。
そこは、戦国時代から続く旧家。夏希の祖母(声:富司純子)の誕生日祝いで、大家族が集合しようとしていた。
そして事件が…。
ネット上の仮想都市“OZ”で人工知能が暴走して、現実世界も大混乱、地球破滅の危機!?
健二は、夏希の大家族らと共に格闘ゲームで“OZ”の人工知能と対決する。
果たして、彼らは地球を救えるのか!?

こうやってストーリーを書いていると、読んでもらった人に理解して貰えているのか不安になりますが(笑)、とにかく映画を観てもらいたい!
アニメでしか描けない“愛”“絆”“優しさ”そして“奇想天外さ”に大興奮!!
笑いと涙、感動の嵐!!!
山下達郎の主題歌と共に、爽やかな気持ちで映画館を後にしました。


★★★★☆

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January 28, 2009

映画評No.77 レッドクリフ

レッドクリフ


監督     ジョン・ウー

出演     トニー・レオン  金城武  リン・チーリン  中村獅童
 

2008/中国映画


世界中で愛されている「三国志」の映画化。

100億円の製作費が投入されている事もあり、全てに圧倒的な臨場感と迫力。
驚きは、ノンストップのスピード感。
それによって、その上演時間も気にならない。

「三国志」を簡単に予習していなければ登場人物の名前や人間関係が分からないのでは!?と若干の心配はあったが、そのあたりは出来る限りの文字情報でフォローしてくれる。
しかし、簡単な予習はしておいた方がより楽しめるかも。

トニー・レオンのアクションも流石だし、冷静沈着な金城武は新鮮!!!

PARTⅡが絶対観たくなるようなエンディング…正直、待ち遠しい!!!!!

★★★☆☆

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October 02, 2008

映画評No.75 おくりびと

おくりびと


監督     滝田洋二郎
脚本     小山薫堂
音楽     久石譲

出演     本木雅弘  広末涼子  山崎努
        余貴美子  杉本哲太  峰岸徹 
        吉行和子  笹野高史
 

2008/日本映画


働いていたオーケストラが解散、チェロを弾く仕事が出来なくなり故郷の山形に戻った主人公・大悟(本木雅弘)。
求人広告の“年齢問わず、高給保証!実質労働時間わずか。旅のお手伝い。NKエージェント!!”の文字に惹かれNKエージェントへ。
しかし、社長の佐々木(山崎努)は「あぁこの求人広告は誤植だな…」そうひと言言ってマジックで“安らかな”を書き足した、“安らかな旅のお手伝い”。
その仕事とは納棺師、遺体をお棺に納める仕事だった。
妻(広末涼子)には冠婚葬祭の仕事だと嘘をついていたが、妻はその仕事内容の事実を知ると実家へと帰って行った。
最初は戸惑いの連続あったが、色々な事情を抱えた人との別れ、それは悲しみだけではなく時には微笑みが、そして感動の連続、やがて納棺師と言う仕事にやりがいと誇りを見出していく大悟だった。

納棺の瞬間を見たことがある人であれば、何か思い出すことがあるかも知れないが、実際自分の記憶を辿ってみると、納棺師の仕事がこの映画のようであったか否かはよく思い出せない。
改めてこの映画を観ると、納棺師の凛とした佇まいと仕事ぶりに、新たな感動とプロとしての誇りを見つける事が出来た事が嬉しかった。

“おくる”人も“おくられる”人も、どんなに小さくても生まれてきた事に感謝出来るよう、そして「ありがとう!」と言えるような最期でありたいと心から思えた。

納棺や納棺師の仕事にまつわるエピソードの数々やとりまく人たちの描き方が感動的なのは確か、しかしこの一見地味で触れ難い職業を映画の題材として取り上げるわけだから、脚本もそれなりに書かれていなければならないのであろう。でもそれが時として、ちょっと作り過ぎかなぁと感じてしまったのは、しょうがないのか…さすがプロが書く脚本だと拍手すべきなのか…個人的には、もう少し淡々とした流れでも良かったのではと思えるが。

舞台となった山形・庄内地方の四季の移ろい、そしてチェロの響きがとても美しくて切なくて…心に沁みた。

亡くなってしまった大切な人を思い出したくなる映画でした。
「ありがとう!」見守っていて下さい…。


★★★☆☆

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September 11, 2008

映画評No.74 ラストゲーム 最後の早慶戦

ラストゲーム 最後の早慶戦


監督     神山征二郎

出演     渡辺大 柄本佑 和田光司 脇崎智史 片山享 中村俊太
        柄本明  山本圭  藤田まこと 
        富司純子  石坂浩二
 

2008/日本映画


自然と涙腺がゆるんでしまう…良くも悪くも感動的な実話を基に作られた作品を評価するのは本当に難しい。

1943年、太平洋戦争も日本は苦しい戦いを強いられいた。ただひたすら白球を追いかけていた大学生たちであったが、「野球は敵国アメリカのスポーツだ」と六大学野球が廃止、さらに学生に対する徴兵猶予が停止、彼らは野球を捨て銃を取り戦地に赴かなければならなかった。
そんな中、早稲田大学野球部顧問の飛田穂洲は、出陣のその日までに学生たちに野球部としての最後の思い出を作ってやりたかったが、それが何であるのか分からずいた。
そんなある日、慶応義塾塾長の小泉信三が、飛田に「早慶戦」を申し込むが、早稲田大学総長はその提案を拒絶、しかし飛田の独断で強行突破で「早慶戦」は遂に開催される。

やはり、このようなヒューマニズム溢れる作品を得意とする神山監督であるから、安心して観られると思う。
しかし、何か物足りなさも…。

飛田を演じた柄本明の飄々さの中にも一本筋の通った教育者としての演技、そして主人公戸田の母親役の富司純子の凛とした強さと深い母性には、当然の如く泣かされました。
また、久々に聴く主題歌を歌う鬼束ちひろの歌声も心に沁みました。

早稲田出身者であれば当然の如く「早慶戦」、しかし慶應出身者は「慶早戦」と言う。映画の中でも慶應の学生が「慶早戦」と口にするシーンがワンシーン(確か…)あったが、慶應関係者にはもっと「慶早戦」と使わせてあげたかったなぁ…かく言う私は学生の頃から「早慶戦」としか言って来ませんでしたが。

夢半ばに散っていかれた、あの日の若者たちに心より感謝したく思います。


★★☆☆☆

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August 10, 2008

映画評No.73 ジャージの二人

ジャージの二人


監督・脚本     中村義洋
原作         長嶋 有 「ジャージの二人」 

出演         堺 雅人   鮎川 誠
            水野美紀   田中あさみ   ダンカン   
            大楠道代

2008/日本映画


特別な事件が起こるでもない淡々としたストーリーなのに、どこか切なくて、時として情けなくて、それでも可笑しくて…“生きてる”って実感!!!

息子(32歳・作家を目指し会社辞めたて)は、父(54歳・グラビアカメラマン)に誘われ、北軽井沢の古い山荘へ。
二人はかつて息子の祖母が集めていた古着のジャージを着て、ゆったり穏かな時間に身を委ねる。
息子の妻は浮気中、父は3度目の結婚生活も黄色信号が点滅中。
その山荘に遊びに来る父の友人、息子の妻、母違いの妹、そして魔女だと噂し合う隣人女性…

堺雅人の、その泣き笑いフェイスと確かな演技力、鮎川誠の朴訥さが相乗効果となり、付かず離れずの微妙な父子関係の機微をスクリーン上にみせてくれる。

父子が魔女と噂し合う隣人を演じる大楠道代も適役で、不思議な存在感をだしている。

トマトが食べたくなるか、食べたくなくなるか!?
ジャージが着たくなるか、着たくなくなるか!?   …(笑)

“脱力感”って、意外に心地良くて爽やかな気持にさせてくれるのかも!?


★★★☆☆

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August 01, 2008

映画評No.72 ダークナイト

ダークナイト


監督     クリストファー・ノーラン
 
出演     クリスチャン・ベール  マイケル・ケイン  ゲイリー・オールドマン
        ヒース・レジャー  アーロン・エッカート  マギー・ギレンホール  モーガン・フリーマン

2008/アメリカ映画


そのスピード感と重厚さとストーリー展開の裏切り感覚が、上映時間2時間32分の長さを感じさせない見応え充分な作品。
これで物語がハッピーエンドになるのかと思いきや、裏の裏をかくストーリー展開で、ハラハラドキドキ心臓バクバク…何度クライマックスシーンがあるのやら!?

やはりストーリー展開は“観てのお楽しみ!!!”にした方が良いと思える作品だと…
バットマンvsジョーカーvs…vs…vs…vs…こんな感じです(笑)

ゴッサム・シティーを恐怖のどん底に突き落とす極悪非道の“ジョーカー”を演ずるヒース・レジャーの狂気と憎しみに満ち溢れた演技は、ある意味“荘厳で美しく”も思えてしまう。
まるで本作出演後の彼の急死を暗示しているかのように…

そして、その他の出演者もそれぞれに個性的で魅力的に描かれているし、演技も素晴らしかった。
ただ、そのスピード感とストーリー展開の裏切り感覚に一瞬付いて行けなくなる自分が…これは年齢的な事か!?(汗笑)

ダークナイト(暗黒の騎士)である“バットマン”と“悪”との戦いに当分終わりはないようである。


★★★★☆

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July 30, 2008

映画評No.71 コレラの時代の愛

コレラの時代の愛


監督     マイク・ニューウェル
原作     ガルシア=マルケス
脚本     ロナルド・ハーウッド
 
出演     ハビエル・バルデム   ジョヴァンナ・メッツォジョルノ   ベンジャミン・ブラッド
        

2007/アメリカ映画


良くも悪くも愛のカタチの凄さ、異常さ、愚かさ、そして美しさ感じる作品。
「ノーカントリー」でアカデミー賞“助演男優賞”を受賞したハビエル・バルデムの演技を観るだけでも、この作品を観る価値があるはず…まさに怪演快演!!!

原作は、コロンビアのノーベル賞作家ガルシア=マルケスの代表作「百年の孤独」と肩を並べ“世界傑作文学100選”に選ばれた名作「コレラの時代の愛」
19世紀後半から20世紀にかけ、激化する内戦とコレラの蔓延に揺れ動くコロンビアを舞台に、約半世紀、51年9ヶ月と4日の日々を、初恋の女性に誓ったゆるぎない貞節と報われぬ愛を胸に、“待つ”ことでその想いを貫いた男の愛と人生を描く、想像を絶する壮大で、私にとっては不可思議な物語。

映画を観る前のチラシを読むと、いかにも美しく純粋で一途な男の愛の物語かと思ってしまうのだが、それがことごとく裏切られる、ある意味快感と苛立ち…この物語の展開や感覚、もしかして日本人が持ち得ないモノなのかも!?
ラテン系の血との違いを思い知らせれました。

映画を観終わった時にはさして面白いとは思えなかったのだが、時間が経っても頭から映像や物語が消えていかず、日を増すごとにどんどん思い入れが強くなってくる、これまであまり経験したことのない作品。

この物語が好きになるか?好きになれないか?今、より多くの人からのアンケートを取りたくなっています(笑)

「私待~つわ、いつまでも待~つわ…♪」かつてあみんが歌ってヒットした“待つわ”の世界観…逆バージョン設定ではあるが、もしかすると彼女達はこの小説を読んでいたのでは!?(笑)


★★★★☆

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May 29, 2008

映画評No.70 パリ、恋人たちの2日間

パリ、恋人たちの2日間


監督・脚本・出演    ジュリー・デルピー
 
出演           アダム・ゴールドバーグ  ダニエル・プリュール  マリー・ピレ  アルベール・デルビー
        

2007/フランス=ドイツ映画


この映画を観終わったら、
パリへ行きたくなる?それとも行きたくなくなる?
フランス人が苦手になる?それともフランス人に共感出来るようになる?  

主演のジュリー・デルピーは「恋人までの距離(ディスタンス)」や続編の「ビフォア・サンセット」に出演、「ビフォア・サンセット」では脚本から参加してアカデミー賞脚色賞ノミネート。
そしてこの作品では、監督・脚本・製作・編集・音楽・主演までこなす多才ぶり。
とにかくこの映画、シニカルでストレートでコミカルで…彼女、そしてこの作品がフランスの“ウッディ・アレン”のようだと評されているのも分かる気が…。

何となく「恋人までの距離(ディスタンス)」「ビフォア・サンセット」を思わせる冒頭から、どんどん引き込まれていく。
フランス人写真家マリオンとアメリカ人インテリアデザイナーのジャックは、付き合って2年のN.Y.在住カップル。
マンネリ解消のたまにベネチアに旅行へ行くが、飼い猫をパリのマリオンの実家に預けていたので、帰りの2日間だけマリオンの故郷パリで過ごす事になる。
英語がほとんど話せないマリオンの両親(実際の両親が演じているのでとてもリアリィティが)や次々に遭遇するマリオンの過去の男たちやそのかかわり…フランス語の分からないジャックのストレスと疑いと我慢は限界に達していく。

パリと言えば、恋人たちにとってはロマンチックなイメージ、しかし…
フランス人だって、噂にはその辛辣さシニカルさや自国愛の強さ等々について聞いていたが、ここまでとは…
次から次へと起こる事件や出来事のスピーディーさに拍手!そしてそこで交わされる会話のリアルさにまた拍手!

お互いを徹底的に傷つけ罵りあった後に、真実の姿、そして新たな愛が生まれ、より強い絆でふたりは結ばれるのかも…!?


★★★☆☆

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May 15, 2008

映画評No.69 紀元前一万年

紀元前一万年


監督    ローランド・エメリッヒ
 
出演    スティーヴン・ストレイト    カミーラ・ベル    オマー・シャリフ     クリフ・カーティス
        


2008/アメリカ映画

  
「インデペンデンス・デイ」や「デイ・アフター・トウモロー」の監督ローランド・エメリッヒの大作。

物語は侵略者の部族に捉われた娘エバレットを捜し救出するため、主人公のデレーが冒険の旅に出るのと言うのが大筋。
その旅で凶暴な恐鳥に襲われたり、サーベルタイガーに出会ったり…様々な苦難を乗り越え、かつてその侵略者に襲われた他の部族の戦士達と共に戦い、奴隷として捉えられた仲間達とエバレットを救い出すための死闘を繰り広げ、彼等は自由を勝ち取る。

この作品で象徴的に描かれているのがマンモス…監督はこのマンモスをよりリアルなCGで描きたいと考え、構想15年、CG製作だけで1年余りを費やしたとの事。
さすがにその技術は素晴らしいし、そしてCGではなく映画史上最大とも言われる巨大なセットで作られたピラミッドにも驚かされる、しかし、良くも悪くも史実も時間も越えた何でもあり(いっぱいあり過ぎるので、実際に観て感じてもらった方が良いかも!?)のストーリーのおかげで、感動が薄れ、見所も散漫になってしまっているのが残念。
観終わった後のカタルシスが…これも実際に観て感じてもらった方が良いかも!?
ある意味面白いし凄い映画!!!!!


★★☆☆☆

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April 05, 2008

映画評No.68 あの空をおぼえてる

あの空をおぼえてる


監督     宮樫森
原作     「あの空をおぼえてる」ジャネット・リー・ケアリー著

出演     竹野内豊  水野美紀  広田亮平  吉田里琴
        小池栄子  中嶋朋子  品川祐  小日向文世


2008/日本映画


写真館を営む父(竹野内豊)と母(水野美紀)息子(広田亮平)娘(吉田里琴)の4人は、日々、歌があり笑顔が絶えない幸せな家族。
しかし、最愛の娘を交通事故で突然失い、その事故の悲しみと責任を感じ、父親として家族を労わる余裕さえ無くしてしまう父。
自分さえ悲しみの中に居ると言うのに、妊娠中の母と絶望の淵に立っている父を励まそうと懸命な息子。
父、母、息子、3人はどうやって、この悲しみと苦しみを乗り越え、新たな幸せを見つけ、家族の絆を深めていくのか…。

やはりと言うか当然と言うか、子役が素晴らしい。
その自然体の演技に、分かっていながらも思わず涙腺がゆるんでしまう。

原作は読んでいないが、児童書のようなので、子供の側からの目線で描かれているのかも知れないが、残された親子が立ち直っていく様を、もう少し親側から、その心の動きや葛藤を描いて欲しかったなぁとも思う。
両親の描き方に対しては、せっかくの好演なのに、物足りなさを感じた。

脇役では、カウンセラー役の小日向文世が流石の存在感。そして、息子の同級生の母親役の濱田マリも…。


★★☆☆☆

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