舞台評No.66 怪談 牡丹燈籠
怪談 牡丹燈籠
作 大西信行
演出 いのうえひでのり
出演 段田安則 伊藤蘭
秋山菜津子 千葉哲也
瑛太 柴本幸
梅沢昌代 松沢一之 西尾まり
2009/8/20 ソワレ Bunkamuraシアターコクーン
文学座1974年の初演以来、歌舞伎などでも上演されてきた人気演目。
愛と哀しみと憎しみ、そして愚かさ…その因果が生み出した男と女の人間模様を描いた脚本が、とにかく素晴らしい。
3時間近く(15分の休憩あり)の上演時間も、中だるみせず飽きさせない。
続きがあるなら、もっと観ていたいくらい…(笑)。
旗本の娘・お露(柴本幸)は、浪人・新三郎(瑛太)に恋焦がれ死ぬが、その後を追った下女のお米(梅沢昌代)
と共に幽霊となり新三郎の元に通うようになり逢瀬を重ねる。
その様子を偶然に見た新三郎の下働き・伴蔵(段田安則)は、その驚くべき真実を知り、妻のお峰(伊藤蘭)に打ち明ける。
そして物語は、色々な人間の因果を結び絡めながら、想像も出来ない展開をしていく。
劇団☆新感線を主宰するいのうえひでのり氏の演出なので、いつも通りの派手な衣装や装置、アクション等を想像していたのだが、良い意味で裏切られた。
時として分かりにくい場面もあったが、ひねりを効かせ小技を加えた演出に感心しきり。
演技人もそれに応え、段田安則と伊藤蘭の夫婦のやりとり、特に夫婦喧嘩のシーンの力の加減が男と女の機微を上手く表現していて、たいへん面白かったし、下女と夫婦の知り合いのお六の二役を演じた梅沢昌代のコメディエンヌ(あえてそう言いたい)存在感の拍手拍手!!
初舞台であった瑛太…ホント顔が小さい!まぁ、イマドキの青年で舞台映えのする顔の大きさの役者を探して来ようとしても無理なのかもしれないが(笑)。
人間は誰しも因果を背負って生まれて死んで、また生まれて死んで、そしてまた…
心に染み入るエンディングであった。